下請法、好きですか? #legalAC

@kataxさんのツイートに反応し、参加してみることにいたしました「法務系Tips Advent Calendar」。登録された方を見ると、キャー、錚々たるメンバーが!(←キャーとかいう歳ではない点はさておき。)でも、「ハイスペックでなくとも、いつかはミドルスペックを!」を目指して始めたこのブログですから、こういうせっかくの機会にはトライしてみましょう。
前置きが長くなりましたが、ネタについてはざっくり下請法まわりで実施していることにしてみました。法務担当者の皆様、下請法、好きですか? 規制が細かい、毎年テキストが変わる、なのに変更点が明示されない、毎年書面調査が実施される、立入検査に至っては準備から当日→後日対応まで結構な事務作業を強いられる…。。正直、下請法はメンドクサイ。

だからこそ、これまでに少しでも楽をしようと心がけてきました。方向性としては、自分の作業を減らそうとするものと他部署からの「やっちゃったかも?」告白を減らそうとするものです。



「また、来たよ〜」のげんなり感を減らしましょう。

  • 書面調査は教育ツール

毎年6月頃に届く、あれです。法務で主要部署のみちゃちゃっとヒヤリングして、ざっと回答すると割り切ってもよいのでしょうが、正確に回答しようとすると、各部署での回答が必要になりそのとりまとめだけでもかなりの事務ボリューム…。以前はPDFファイルを送付して書き込んでもらい、法務でそれをとりまとめしていたのですが、現在は設問と回答の選択肢をすべに転記したExcelファイルを作成し、これに回答いただいています。1回作ってしまえば、毎年使い回し可能です。そして、このExcelにちょこっと仕掛けを組み込んでいます。

  • 選択肢はチェックボックスかオプションボタンを使う→下請法違反が疑われる回答をした設問に「!」「?」とチェックが入るようにします。
  • 「!」「?」チェックが入った回答数をカウントします。
  • 1件でもチェックが入れば「運用について確認が必要なので、後日ヒヤリングに行きまーす。」と、逆にチェックが入らないと「この調子!今後もよろしくね。」というメッセージが表示されます。*1
  • チェック数の多い部署から順にヒヤリングをしていきます。


これにより、以下の効果がありました。

  • 法務における回答とりまとめ作業が格段に楽になる!
  • 簡易教育ツールになる! 〜事業部の人からも、毎年このExcelでチェックできるからいいねーと言われたことも。
  • 公取の注意視点がわかる! 〜毎年設問が微妙に変化しているので、特に注意をしている箇所がなんとなくわかります。


「え、下請事業者だったの!?」をなくしましょう。

  • 発注書面も教育ツール

取引を検討している相手企業が下請事業者か否か、できるだけ早くわかった方がよいのでしょうが、遅くとも発注時にきちんと把握できれば大怪我は避けられるのかと思います。そこで、注文書テンプレートには下請法対応の仕掛けをたくさん仕込んでいます。*2

  • 資本金と発注内容にチェックを入れると、下請事業者か否かの判定を表示 〜当社特有の発注内容を列挙して下請法テキストでは例示されない発注内容でも判定されるようにしたり。
  • 下請事業者の場合に支払いサイトが60日を超えるとアラート表示
  • 当初書面を選択したら補充書面へ誘導
  • 必要な記載事項はすべてデフォルトでチェック などなど

「これもアウトなわけ?」のアンテナを。

  • 忘れないでねと時々テスト

特に誤解しそうなケースについて、社内事例にあわせて「これってOK?NG?」テストをイントラにて時折公開しています。

メールや電話で下請法まわりの質問を受けることも多いのですが、回答は法務の管理するフォーラム上にFAQとして掲載し、リンクを送って回答するようにしています。これは下請法に限らず、法務相談においてはきっと皆さんもやってらっしゃるのかなと思いますが。




「ん?この会社、下請事業者?」「この会社と突っ込んで価格交渉してもいいの?」「不具合あったんだけど、返品に制限あるのかな…。」 こんな社内担当者のつまづきをなるべく減らし、ルールはルールとして守りつつ、スムーズに委託業務が流れるように、そんな点に気を使っております。


さて、@msut1076さんから受けたバトン、次は@takujihashizumeさんへお渡しいたします。*3

*1:もちろん、こんなふざけたメッセージではありませんが。

*2:最も発注品度の高い調達部門は発注システムを利用しているのですが、たまに発注する部署ではExcelのテンプレートを利用しています。

*3:ブログを愛読しているお2人の間に挟まれるとは!