地方法務の事情

昨晩は「Business Law Journal」の読者交流会だったようで、twitterのTL上で #BLJRC のツイートが流れます。読者交流会の楽しそうな様子を目にする度にいいなぁ〜と指をくわえております。在京じゃなくとも参加することは可能ですが、いかんせん育休中の身。復帰後も泊まりの出張はなかなか難しいものと思われます。う〜ん、地方に住んでるとなぁ…。


法務として地方企業で働くことのハンデ。普段はそれほど感じません。顧問先も東京・大阪の事務所です。なかなか対面での相談というわけにはいきませんが、TV会議・テレカンでの相談でも特に不都合を感じることはありません。
が、モチベーションを高めるための刺激が少ないのは事実。法務パーソン同士のリアルな「ここだけの話ですが…」の場に参加できないというのはいつもちょっと残念に感じています。また、東京で聞きたいセミナーがあったとしても、参加するにも1日がかりということになるとタイムリーに参加できないことが多いです。



それでも、地方企業の法務で働くということ。選択肢としてはありではないかと思います。


■理由その1:子育てしやすい
私の住んでいる自治体では待機児童の問題はほとんどありません。現在、長女を保育園に預け始めた5年前より状況が厳しくなっていることは確かですが、この保育園じゃないとというこだわりさえなければ概ね希望時期に入園できます(年度途中であっても)。車通勤が当たり前ですので、昼休みに会社を抜けて授乳に通うこともできます。また、昔から共働きが当たり前であった土地柄からか、「小さい子を預けて働くなんて。」と言われたことは今のところゼロです。*1
学校も公立が当たり前。「お受験」、ほぼ存在しません。海も川も山も近く、大自然の中でのびのびと子供たちを育てることができます。


■理由2:一人法務として活躍できる…かも?
地方ではまだまだ「法務」はマイナー職種なので*2、法務の専任スタッフを有していない企業もあります。そのため、その会社の法務の開拓者になれるかもしれません。大変なことも多いですが、開拓者ならではのメリットも。ゼロから始めるため、法務が行う業務はどれも初めてのサービス。当初はとてもありがたがられます。思うように仕事を進めることができるのも、最初から大きな案件に関与することができるのも、入社早々役員から顔を覚えてもらえるのも一人法務ならでは。
社内で独力で新サービス開拓することができるエネルギーのある方は大手ハイスペック法務への就職ではなく、地方中堅企業の法務パイオニアになることも選択肢の一つとして考えてみてもいいのかな、と。もちろん、社内への営業力は必須です。






たとえ1部上場している企業でも「法務」と名のつく部署をもっている企業はまだ少ないようです。*3 とはいえ、法務業務の必要性は地方であっても同じはず。数年前から開催している他社との法務分野勉強会で皆さんのお話を聞くと、法務セクションを強化するという企業が増えてきているように感じます。とはいえ、地元にその人材は少ないのが実情。
大都市であることにこだわらなければ、今ならまだ企業法務の実務経験がなくとも採用される可能性はあると思います。司法試験を断念した人、地方の中堅企業に目を向けてみるのもよいかも。ただ、5年後に今と同じ状況かというと難しいかもしれません。地方にも弁護士有資格者、LS修了者があふれゆく将来、未経験者や経験者であっても付加価値を提供できない人は採用の対象外となる日は遠くないとは思います。*4


などなど、BLJ読者交流会を羨ましいなと思いつつ、自分が今いる、地方企業の法務ってどんなものだろうと考えてみました。子育てのしやすさが最初に上がるのは育休脳になっている証拠でしょうか。それもまた自分の変化のひとつとして受け入れようと思います。
さて、復帰後は地元の企業間法務勉強会でLTを取り入れてみようかしら。刺激がなければ自ら作るほかないわけで。そして、育休中にアウトプットできる引き出しを増やさないと。慌ただしい毎日、なかなか時間を捻出できませんが、わずかな時間の積み重ねを大切にしようと思います。

*1:私個人のキャラクターかもしれませんが…。何倍にも言い返されそうな?

*2:職種を聞かれて「法務です」と答えても「???」という反応。

*3:「地方大都市」は別だと思いますが。

*4:自分の法務としてのキャリアプランは只今絶賛悩み中で、tacさんのこちらのエントリやkataxさんのこちらのLTの内容から改めて真剣に考えなくては…と思った次第。