現場ってなんだろうか。

かなり久々のエントリです。諸々ととっても忙しい日々を過ごしております(←言い訳)。

で、忙しい一環として、出張中です。


法務という職種はあまり出張が多くない方なのではないかと思いますが、この数日の率直な感想としてやはり現場に一歩でも近いところには積極的に足を運ぶべきなのだろうと。
具体的な情報が得られなくても、現場の肌感覚を体感しておくことは法務から各部署へのリーガルアドバイスが机上の空論や痛い正論というものから、より血の通ったものになるために非常に有益だと実感しました。
これまではデスクにばかりいないで、依頼元部署へ足繁く通うことにより現場の情報を仕入れようとしてきたつもりでしたし、メンバーにもそう伝えていたのですが、社内の依頼部署は真の現場ではないですよね。モノが作られるところ、売られるところ、そこで働く人の表情が見えるところ。このあたりが現場であるはずなのに入社後の長い時間の中でちょっと勘違いしそうになっていました。

このあたり、メンバーに伝えていくためにも今のもやもやっとした感情をより具体的に落とし込む必要はあると思います。が、ひとまず忘れないうちにもやもやのままつぶやいておきます。



日本を発つときにはスカスカだったスーツケースも仕事の合間に近場で仕入れたお土産でパンパンです。ただ、旅慣れていないのでスーツケースの中はぐちゃぐちゃ。頭の中もそんな感じですが、ひとまず頭の中に色々と詰め込んだ感じ。

これまでの2次元の考え方が3次元に変わるような、そんな機会になりました。帰ったら頭の中に詰め込んだものを取り出しながら整理しよう。

頼りたい人、頼れる人。

2013年、2月に育休から復帰してからドタバタと過ごし、あと3週間を残すばかり。今年のテーマに掲げた「(ゆるり、ゆっくり、ゆったりと。)」とは正反対の下半期でした。さて、ドタバタの毎日の中、今年は弁護士の方と接する機会が例年より多い1年になりました。振り返って思うことを少しつぶやいてみます。


この1年、今後もずっと頼りたい!とあらためて感じる機会が多かったのですが、そう思える要素を考えてみました。

  • キレキレ!

依頼側のモヤモヤをこれぞ!というキレの鋭い表現と構成でスパッと整理してもらえたとき、抱えている問題の霧が一気に晴れた気分になります。会社の方針もトントンと決まっていきます。*1

  • 誠実さ・真摯さ

本当にクライアントのことを思ってくれていると感じる瞬間があるとないとでは、アドバイスを受け入れる確率が変わると実感します。説明していないのにもかかわらず自社の製品群やビジネス環境を事前調査し、これらを踏まえての提案をいただけるとき。短時間で大量の資料の隅々まで確認し、隅っこの一文から打開策を提案してもらえたとき。厳しい助言もときにはお叱りに近い言葉をもらってもビジネスを成功させたいという思いが見えることで受け入れようという気になります。

  • 法律家orビジネスマン?

「法律に詳しいスーパービジネスマン」、最もお世話になっている弁護士の方を形容するならこのような表現です。条文や判例ももちろん重要なのですが、ビジネスにおける現実的なアドバイスをスピーティかつ的確にしていただき、その根拠として法律的要素を説明してもらえたほうが腑に落ちます。

  • テンポのよさ

正直なところ、法務としてはタイムチャージがやはり気になります。会議が間延びしそうになると時計を何度も確認します。。*2そのような法務担当の思いを汲んでくれてか、非常にテンポよく進む会議。このテンポの重要性というのを今年は非常に強く実感しました。会議におけるテンポのよさはその後のデスクワークのテンポにつながります。頭の中がリズミカルになるというか、会議後に一気に「考える」作業が進むのです。

  • はっきりとした否定も

相談しながらも自信がないケース、未熟者ゆえまだまだあります。会社としては「GO!」の案件だとしても法務としては引っ掛かりがあるとき。いつもは代案を捻り出してビジネスを推進してくれる方が、条件付きストップを明言してくれることも非常にありがたく感じました。

  • オープン

本当はどう考えているんだろうか? 頼る相手の真意が見えないと「???」が増え、やりとりも増えていきます。どうしてそう思うのか、どうして他の選択肢を採用しないのか。どうして自社の案ではだめなのか。信頼関係の前提としては情報だけでなく思いも重要。その時々の考えや発言の奥底にある思いを共有することの必要性を強く感じました。



「ビジネスパートナー」としての弁護士の重みを痛感した2013年でした。本当に、勝手に心強いパートナーだと思っており、新しいビジネスの相談ができる日をワクワクして待っていたりします。


私自身、頼んでよかったと思ってもらえる仕事をしたいものです。法務スタッフが弁護士に対して思うことはきっと社内の依頼者が法務に対して思うこと。「頼りたい人」に、そして現に「頼れる人」になるべく、日々精進なのであります。

*1:社内の会議同席者からも「弁護士料の価値はやっぱりこれだね。」という言葉が出ます。

*2:私自身の会議の進め方のマズさという点も多分にあるのですが。

下請法、好きですか? #legalAC

@kataxさんのツイートに反応し、参加してみることにいたしました「法務系Tips Advent Calendar」。登録された方を見ると、キャー、錚々たるメンバーが!(←キャーとかいう歳ではない点はさておき。)でも、「ハイスペックでなくとも、いつかはミドルスペックを!」を目指して始めたこのブログですから、こういうせっかくの機会にはトライしてみましょう。
前置きが長くなりましたが、ネタについてはざっくり下請法まわりで実施していることにしてみました。法務担当者の皆様、下請法、好きですか? 規制が細かい、毎年テキストが変わる、なのに変更点が明示されない、毎年書面調査が実施される、立入検査に至っては準備から当日→後日対応まで結構な事務作業を強いられる…。。正直、下請法はメンドクサイ。

だからこそ、これまでに少しでも楽をしようと心がけてきました。方向性としては、自分の作業を減らそうとするものと他部署からの「やっちゃったかも?」告白を減らそうとするものです。

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なんちゃってLT

体調はまだ万全ではないものの、徐々に通常業務体制に戻りつつあります。10月から何かとシカケ仕事を始めようとは思っていたものの、相変わらずあれやこれやの突発事項に追われています。

さて、10月からの業務に弾みをつけようと、9月の終わりに地元法務・知財勉強会を開きました。私自身は育休明け初参加なのですが、勉強会自体も間があいていたようなので、ここはメンバーの近況報告を兼ねて“なんちゃってLT”を行うことにしました。以前にこちらの様子をtwitterで眺めていて、いつかは勉強会で取り入れてみたいと思っていたので、えいやっと提案。


ほそ〜〜〜く、5年ほど続いている勉強会です。毎回の担当者がテーマ設定からゲスト選定・当日の仕切りまで行うのですが、数人の同じメンバーで担当を回すことになってしまっているので、全員参加型にしたいなと思っておりました。なので、実は今回の簡単なプレゼンから入ってもらって、次回以降の担当を引き受けてもらいたいという思いもあったりします。


幸いにもメンバー以外の弁護士・弁理士の方にもご参加+発表いただけることになりました。“なんちゃって”としたのは、進め方も内容もかなり緩いものだからです。5分で強制的に発表打ち切りにもせず、質疑応答も盛り上がるままに延び延びに。内容もトレンドの特定テーマについて深く切り込むというよりは、近況報告や自己紹介に近いものだったかもしれません(←特に自分。。)。とはいえ、参加者の半分が次々と発表をしたという点をとらえて、“なんちゃってLT”とさせていただきます。


なんちゃってLTを終えて。

弁護士の先生の発表がとにかく面白かった!「今日は裁判員裁判風で…」とおっしゃる通り、聞きやすく、わかりやすい。そしてネタもオチも随所に仕込まれておりました。法務系の社内研修などでやわらかいイメージにしようと思って文字を減らして図やアニメを入れるくらい、まだまだ甘いものだと教えていただきました。

そして、自分の発表テーマを考えるにあたり、これまでなんと浅く仕事をしてきたものかと、情けなくなりました。専門性とまでいかなくとも、「このテーマは、調べぬいて考え抜いたので、みんなちょっと聞いて〜!」と言えるものすらもないなと。



ひとまず、今回は「第1回LT」としたので、いつか来る第2回に向けて、外部に発表でき、かつ「ほ〜。」と言ってもらえるようなテーマを身につけることを頭の片隅に置きながら日々の仕事に向かおうと思います。

近況

随分久しぶりの投稿です。

会社関係もプライペートも、ちょっとドタバタしていました。プライベートの面では、先週手術を受けほんの数日前に退院したばかりです。数日の自宅静養を経て、ようやく来週から徐々に仕事復帰です。
会社では色々とリセットの時期です。特に近しい環境が変わることはなかったのですが、自分の立ち位置というか、法務業務のあり方というか、むむむ…と頭を悩ませ続けておりました。全社をあげて、各自が「考え直す、考え抜く」ということが求められる中、法務という職種で社会に貢献できることって何だろうか?と。

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脱!規約スランプ

新サービスのmtg.を終え、規約を作りながら思うこと。やはり、本腰を入れて取り組むべきだろうなと。

先日のエントリにも書いたように、規約の苦手意識の原因としては色々あるのですが、事業部門と一緒にサービスを「カタチ」にする過程の難しさにあるのだろうと思います。幸いにも、「良いウェブサービスを支える『利用規約』の作り方」で掲載されている雛形がダウンロードできるようになりましたので*1、様々な点でかなり参考にさせていただいております。


ただ、問題はサービスの根幹をなす実体条項。
ハードウェア製品と異なり、形のないサービス商品。事業部門の担当者が描いている「サービス」をしっかり理解しないことには規約等によるリスクコントロールも見当違いの方向に向かってしまうので、このあたりのすり合わせ作業をしっかり行わねばと痛感しています。サービスの実体を可能な限り具体的に聞き出して、規約等で依頼者の気付かなかった点まできめ細やかな配慮を行ってこその法務かと。
このサービスこそ画期的!と思っている依頼者に、サービスを詳細に説明してもらい懸念していることを吐き出してもらうこと、実は大変だったりします。Webサービスが本業の企業であれば、製品開発書=サービスの設計書でしょうから、サービスの内容を整理することはあまり困らないのかもしれません。サービスが本業ではない企業の場合、難航することもしばしば。


さて、どうするか。
まずはヒヤリング前に規約の素材集めをきちっとしようかと思います。以下はごく当たり前の内容なので、あくまでも自分のための備忘録としてメモしておきます。

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規約スランプ。。

「スランプ」というと“一時的に”振るわない状態でしょうから、正確には違うかもしれません。この1〜2年、規約に対する苦手意識が非常に高い状態にあります。

以前は、規約作成は法務業務の中でも好きな方の業務でした。取引相手のパワーバランスに影響され、むむむ…という内容で決着することも多い契約書とは異なり、法務が作成した内容がそのまま通るのですから。でも今は、規約というとちょっと重い気分になります。

その原因はこれら。

  • サービス内容が詰め切れていない段階での相談が多い。
  • 「規約さえガチガチにしておけばいんじゃ?」という発想が根強い。
  • 規約・Web上の説明&契約導線・申込画面(申込書)の内容間に矛盾がある。
  • あれや。
  • これや。

…あれやこれやはさすがに書けませんでしたが。

案件数が多く、これらを一つひとつ丁寧にクリアできる時間的余裕がないとき、ちょっと重たい気分になるのです。ぽわーんとしたサービス内容を、規約に定められるくらいに形あるものにする過程がうまくいかず。無体のサービスをカタチにする規約作成のお仕事、本来はワクワクする部類の仕事のはず。でも、このモヤモヤ感は何だろうと思っていたところ、法務クラスタで絶賛されているこの本の以下の部分を読んで、そうそう!と納得しました。

良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

ある企業家から弁護士への相談
新しいウェブサービスを立ち上げるときは、夢がどんどん膨らんでいくものです。しかし、理想ばかり描いていると、弁護士や法務担当者としての経験から、「ああ、これではリスクに潰されるだけで多分うまくいかないだろうな……」と思えてしまうことが少なくありません。


新規サービスの相談の中に様々な課題があったとしても、登場する弁護士さんのようにやはり一つひとつを丁寧に検討して、クリアしていくしかないんですよね。腹を括って手をつけるとしますか。そう、明日は新サービスに関するmtg.の日。付箋だらけのこの本を、もう一度開くといたします。