抽象と具体と。

先日のセミナー受講依頼、いくつか気をつけていることの一つに「思考停止」に陥らないようにすること。うーん、というよりは、自分が思考停止しているなと気づけるようになっておこうということ。

思考停止。その解釈は色々あると思いますが、「物事を考える次元が変わらないこと。言い換えれば抽象と具体を行き来しないこと。」という説明がいたく腹落ちしました。法務業務の中でよく「ひいて考えてみよう。」「俯瞰してみよう。」などと声をかけることが多いのですが、今ひとつしっくりこず。



「誰の、何のためのビジネスだっけ?」
「この製品を手にしたときにどういう感情をもってほしいんだろう?」
「そのために今回優先するものはスピード?確実性?」
という抽象的な問いと
「ユーザーがこのサービス始めるときにこのボタンを迷わず押せる導線になってる?」
という具体的な問いを行き来しながら解決策に近づいていくことが必要なのだろうとなんとなく思っているこの頃です。


先日の新入社員向けの研修において何を伝えようかという議論の中で、「自ら考えられる人材であってほしい」なんて意見も出されたのですが、おそらく法務に丸投げをする依頼者もきっと考えている。いかに早く、多く、売上をあげるのか。それを「考えていない」と評価することはよろしくないのかなと。自分のフィールドについては一生懸命考えている依頼者に対し、依頼者自身の抽象度・具体性の枠外にある、抽象度の高い問いを投げかけられるか、とことん具体性を突き詰めた問いを投げかけられるかが法務の腕なのだろうとふと思ったのでありました。


そんな、徒然なる本日のツブヤキでした。