4月はコンプライアンス。

4月。オフィスにもピカピカの新入社員が仲間入りする季節。彼らとの最初の接点が「コンプライアンス研修」という法務の方も多いのではないかと思います。今年はコンプライアンス研修をチームメンバーの若手2人に任せることとしましたが、その際にこれまでどんな研修を行ったのかをふりかえってみました。

○初期:カタイ講座型
担当の取締役が行動憲章や行動規範を解説したり、1項目ずつ輪読したりということを行いました。この頃は「重さ」や「形式」を重視していたように思います。


○中期:講座+ワークショップ型
社会人になって初めて必要となる基礎知識のプチ講座と契約ゲーム・新ビジネスゲームなど行いました。チームに分かれて買主・売主双方の契約条件を提示しあったり、業界の“やっちゃった”事例をベースに、対応策を考えてもらったり。法令や契約の知識があると安心だよね、考えると答えにつながるヒントは誰でも見つけられるよね、そうなるとリスクが減らせるよね、ということをプチ体験してもらうプログラムにしました。少しでも「実益」があることと、法務への障壁を排除したいという思いがあり、このときは意識的に「コンプライアンス」「法令遵守」という硬い言葉を避けていました。


○現在:知識は不要?で検討中
中期の知識+ワークショップという形式を行ってみて、「知識」部分は新入社員のうちはほとんど活用できていないという事実を踏まえ、知識は新人研修プログラムではなく、業務に必要なタイミングで部署ごとに個別に抑えていく方がよいのではないかという考えに至りました。
で、約1ヶ月の集合研修の中、研修、研修、講座、講座…と続く彼らの頭の片隅やココロのどこかに研修のキーワードや法務スタッフの顔がちらっとでも残ればよいのではという方向で一度トライしてみることに。
以下の2点を狙いとしました。
・法務とのつながりをつくる。
・「これからこの会社でどうありたいか(≠何をしたいか)」を考え、その思いを形に残す。

法務としてはどうあってほしいのかについては法務の若手メンバー自身にじっくり考えてもらい、そのキーワードを伝える予定です。コンプライアンス研修のもうひとつの狙いは法務メンバー自身に心の底から真剣に自分自身がどうありたいかを考え抜いてもらうこともあったりします。新入社員と近い年齢の若手スタッフだからこそ、新入社員のココロに響かせることができるのではないかと期待しております。
とはいえ、最後に私から新社会人だからこそのリスクとしてのSNSの活用について研修のオマケ的に具体例として簡単に触れ、コンプライアンスに対する思いも伝えて締める予定です。


諸々あって、最近ずっと「コンプライアンス」の正体なるものを追いかけていました。これまでの研修では、コンプライアンスの定義として「法令遵守」「ステークホルダーの期待に応えること」などなど説明していたのですが、説明しながらずっと違和感を抱えていました。最近の実体験から、コンプライアンスは硬いものでも冷たいものでもなく、やわらかく熱いもののような気がします。ひとつの答えが「各自の心の奥にある正義感」なんて感じかなと思ったのですが、実は定義する必要はなく、考え続けること、答えを探し続けることこそが「コンプライアンス」に一番必要なのではないかと思っているこの頃です。

研修に即効性があるものではないのでしょうが、彼らの身を守り、そしてこれからの社会人生活を安心してドライブできるように、シートベルトのような存在になりたいなと。さて、うまく伝えられるかな。