「自分でやった方が早い病」

諸事情ありまして、所属する法務チームの立直しというか自分の立ち位置というか…について考えることになりました。教えるとか育てるということ、もちろんこれまでもやってきたことではありますが、ギアを入れ替え腹を括ってチームスタッフが育つ支援をすべき状況です。一人法務*1から始まったせいか、これまでは最後の最後で自分が業務を処理できればOKというスタンスであったことは否めないので、自分自身も変わるためのよい機会です。


とにかく緊急避難的にマニュアルやチェックリストを揃え、最低限これらに沿って業務を進めてもらうか、自主性を最大限尊重するか。…悩ましい。


そんな折、FBで何人かの方がこちらを勧めていました。タイトルが耳に痛かったので早速読んでみました。

自分でやった方が早い病 (星海社新書)

自分でやった方が早い病 (星海社新書)


全体的に、「自分でやった方が早い病」が進行するとどうなるか、克服するとどうなるかといった総論部分の方が多く、任せるための具体的方法をメインで期待している人にとってはあれ?という感じかもしれません。著者も本文中で任せるための技術を知りたい方は『任せる技術』の方をと勧められています。総論部分についてはすでに理解しているつもりだっだので、確認のために読み進めるといった感じでした。やはり参考になったのは第4章の「『自分でやった方が早い病』への処方箋」という具体的方法の部分です。

私自身が特に参考になったのは以下の3つ。

処方箋10 「つぶやき戦術」で軌道修正をする
処方箋12 言いたいことは3つだけ言う
処方箋15 あえて70点のマニュアルを作る

特に今後私自身が参考にしていくことは処方箋15です。目下の課題は当面ある程度の品質を維持しながら「サバキ系業務」を回せるチームにしていくことです。単純に考えると完璧な「型」を作ってその通り回してもらうこと。しかし、それでよいのだろうか…。dtkさんがこちらのエントリで「迷わないでサクサク処理できるというのは効率面では良いけど、一方で迷う過程で学ぶという面を切り捨てることになりかねないので、その辺のさじ加減は考えどころかもしれない…と思ったりしないでもない。」と書かれていたように、型にはめることで失うものもあるんだろうなぁ。


「処方箋15 あえて70点のマニュアルを作る」より。

不思議に思うかもしれませんが、あえて70点にしておいたほうがよいでしょう。(中略)30点という余白を残しておいたほうが、それぞれの人の成長につながるという理由のほうが大きいのです。
残りの30点は自分で考える部分です。独自性を出させるための余白を残しておかなければ、ただのマニュアル人間になってしまいます。

頭ではわかっているつもりだけれど、ついつい細やかなマニュアルをと思ってしまう性格なので、仕上げた後に3割削る作業をしてみようと思います。削る過程で、教える側も“これまでのやり方と違うと気になってもその人なりのやり方を許容すべき部分”というものが見えてくるような気がします。といっても乳児と過ごす慌ただしい毎日、7割までできたらリリースすることになりそうな気もします。


その他、参考になった部分は以下の通り。総論については分かっていたつもりですが、自分の子育てについて置き換えながら読んでみると耳が痛い部分が多々あり…。

  • 「人を育てるというのは、水の中に向かって字を書くようなものだ。」(中略)人に動いてもらう、人を育てるというのは、本当に辛くて時間のかかるものです。高い志や中長期的な視点がない限り、すぐに楽な方に逃げてしまいます。
  • 家族の中でのパワーは、トータルで100%です。これは変わりません。子供が10%なら、親は90。子供が50%なら親も50%。組織や場におけるパワーの総量は一定です。


さて、無理のない範囲で色々と始めてみます。

*1:法務アローン?笑