法務チームをどう育てよう?

2ヶ月間もブログを放置しておりました。
育休中は気になるテーマをまとめて発信していくつもりが諸般の事情で後任フォローを優先しております。娘たちとの限られたのんびり生活を満喫予定…のはずが(T_T)。産休・育休に入る前は、これまでの業務をまとめてブログで発信し、あわよくば他社の法務の方からのツッコミを頂戴して修正したものを会社に還元しようなどと考えておりました。が、なかなかそうはいきそうにありません。まとめの発信は無理そうなので頭の中のモヤモヤをこまめにつぶやいてみようかしら。


さてさて、この数ヵ月の色々を通してあらためて感じたのは法務スタッフにも育成や評価の指針というか基準があった方がよいのかなということです。新任法務担当者にとって“目指すべきところがない→勉強も手当たり次第→どれもこれも必要レベルの知識が身につかない→焦りばかりが大きくなる”という状態に陥るのではないかと思うためです。日々押し寄せる法務相談をこなしていれば それなりにはスキルは上がっていくのかもしれませんが、それでは緩やかなスロープを上がっていく感じなので、低い階段でもよいから「1段上がる」という感覚が必要なのかな、階段を準備した方がよいのかなと。うーん。

自分自身も、依頼を受ける業務が一通り回せるようになった頃に次にどこを目指すべきなのか、そもそも他社の法務の方に比較してどれくらいのレベルにいるんだろうかと悶々としていたものです。参考になる基準がないならば作るしかないと考えて、3年ほど前には法務スキルのレーダーチャートを作って上司に提案したりと試行錯誤していました。法務スタッフの育成について考えていた際に参考にしたのがこちら。また、経済産業省の「知財人材スキル標準」の法務版があったらよいのにと思ったものです。


結局は育成・評価の基準やツールを完成するに至らなかったのですが、ひとりで悶々と悩んでいても仕方がなかろうということで“伸び悩んでいる自分”を何とかするためにとった方法としては以下の通り。
ビジネス実務法務検定1級をとる。
・大学院/ロースクールの聴講生受講を大学と交渉する。
・法務勉強会を立ち上げる。

1級の出題は実際に発生しそうな事例についてどのような視点が必要で社内外において何を調査すべきかということまでも考えなくてはいけないので、合否が法務実務のひとつのレベル判定になるかと思います。さらに、合格したからといって安心せずに、公式テキストを毎年買って解答例との比較をしてみると自分の1年ごとのレベル判定に一役買いそうですね(そう思ったくせにやってないけど)。法務新任者の場合にはビジネス法務検定2級から始めてみるのがスタンダードなのかもしれませんが、新任者でも1級の問題を解いてみると視点の持ち方やここまで考えればひとまず合格レベルというものに触れられるので1級テキストを早いうちから使ってみてもよいと思います。*1
また、1級の公式テキストの問題をすべて解いてみると、自分の苦手分野・得意分野を把握することができるのでなかなかお役立ちでした。1級受験の準備に際して思ったのは、実際に業務にてややこしい事案に遭遇したために徹底的に考え&調べ、再発防止のために形にまでもっていった分野が結局は得意分野なのだということでした。



このエントリを書きながら考えてみたところ、自分自身も含めてチーム育成のために今の環境でできることは、難航した案件はやりっぱなしにせず担当自身がしっかり振返りまで行い、チームでそれをフォロー・シェアすること+レベル判定の素材(テキスト)や機会(受験)を利用することくらなのかな。新任担当者がつまづきがちな依頼者への「接客方法」*2等のソフト面の育成は個々の案件において粘り強く伝えていくしかないとして*3



若手にせよ、自分の子にせよ「育てる」ということはとても難しいものだと最近あらためて痛感しています。そして、自分自身を育てることも。あまりコントロールしようとせずに、伸びたいと思う背中をよいタイミングで押せるようになりたいものです。自分の背中もね。

*1:1級受験には2級合格が必要のようですが。http://www.kentei.org/houmu/index.html#youkou

*2:BUSINESS LAW JOURNAL 2012.5 からの表現です。なんとなくしっくり。

*3:ここが実はかなりの悩みポイントなのですが。