基本行動×10

私の産休・育休に向けてようやく後任が入社しました。予定よりかなり遅れたので詰め込み教育になりそうなのですが、法務としての経験のない彼が業務に忙殺される前に法務のココロエ的な、基本行動をまとめてみようかと思い立ちました。部署に新しい風が吹くときは自分自身を振り返る絶好のタイミングでもありますよね。
毎年地元大学から受け入れていた法務への就職を志望している学生のインターンシップ。毎回学生に法務の役割や業務を説明するたびに自らの襟を正す思いだったのですが、今年はその機会がなかったためこれをよい機会にしようと思います。


さて、【法務基本行動・悩み中】としてtwitterでつぶやいたところ、法務の皆さんからいくつかヒントもいただきましたので、自分なりにまとめてみました。

1 よき社会人を常に目指す。
法務業務は社内クライアントからの信頼が大前提。何を言ったかではなく、誰が言ったのかということが実は非常に重要視される。小さなことで社内クライアントの信頼を失わないように。

  • 挨拶する、時間を守る、約束を守るなどの当たり前をおろそかにしないこと。
  • 品質とコストを常に意識する。


2 「職人」ではなくチームの中の「プロフェッショナル」を目指す。*1
自己満足に陥らず、顧客のニーズに応える仕事をチームとして達成することを目指す。

  • “顧客”が誰なのか、“チーム”へどのように貢献するのかを常に意識する。
  • “言った、書いた、掲載した”ではなく“顧客に伝わったかどうか”を最後まで見届けること。わかりやすい表現への変換を常に意識する。


3 「モノ」に向かわず、「人」に向かう
“活きた”インプット情報が多ければ多いほどアウトプット品質が高まる。

  • PCや契約書にばかり向かわず、現場へ足を運び、実際の話を聞こう。
  • OFFタイムの他愛のない会話も実は重要。ON/OFF問わず、自ら・積極的にコミュニケーションをとっていく。


4 仕事は待たず、つくりだす。
依頼案件をさばくだけでは顕在化したリスクへの対処しかできない。立ち止まる勇気を持つ。

  • 定期的に依頼傾向を分析し、現実的な対処策・改善策を事業部に提案していく。
  • 依頼をさばいて1/3、ノウハウに高めて2/3、実際に活用してもらって完遂。


5 頼れるネットワークは自ら構築する。
初めての課題に対応できるように、多彩なヒントをネットワークから提供いただく。

  • 社内にも、社外にも、信頼できる相談先・同士を多く確保する。
  • 既存のネットワークを最大限活用する。既存のネットワークがなければ自ら新しいネットワークをつくりだす。


6 指摘で終わらせず、実案を出す。
批評家はクライアントにとってビジネスパートナーとはいえない。

  • ビジネスで使える具体的な・実践的な案を頭を捻って考えること。
  • ひとりでアイデアが浮かばなければ上司・先輩にも参戦してもらう。


7 常に「ソウゾウ」する。
“作業”ではなく“クリエイティブな業務”を目指す。

  • あらゆる不測の事態を細やかに「想像」して、回避策を「創造」する。
  • 策の実現ハードルを考慮して複数案を創造すること。


8 事業部を追い越すつもりのスピード感をもつ。
顧客のスピードニーズを把握し、ニーズに応える・追い越す努力をする。

  • 100%の完成度にこだわり時期を逸しないこと。
  • 事業部が気付いていない潜在的リスク・対策を先回りして提案する。


9 「できない」「わからない」から逃げない。
日々変わっていく社会。できないことやわからないことがあって当たり前。中途半端なプライドは邪魔になることも。

  • できないこと・わからないことに中途半端に答えず素直に認め、助言を仰ぐ。
  • 失敗・間違いに気付いたら直ちに・素直に撤回する。


10 覚悟を持つ。
法務スタッフとしての覚悟を持つ。

  • 経営者にも耳の痛いことを伝える覚悟を持つ。
  • 自信を持って発言が正しいと言える覚悟を持つ。そのために、情報収集、勉強、社外交流等々の不断の努力が必要。
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色々書いてはみたものの、実は結論は「でも、楽しもう!」だったりもします。あくまでも真摯に自らの役割に向き合い、自己研鑽し、そして楽しもう。


時間が経つと、そして失敗にぶちあたると、この内容もまた変わるのかもしれません。これからは期首の目標を立てるタイミングで毎年振り返ってみようと思います。

*1:真の「職人」になりきれるのならば、それもよいと思います。ただし、資格を有しない法務パーソンに求められているのは職人気質ではないのではないかという思いからの、この表現です。