「産後」のサンプルをひとつ。

早いもので、次女も7ヶ月。産休に入ってから8ヶ月が経過しました。あっという間に時間が流れていく2012年。以前にこちらのエントリを読んでから、自分のケースも記録しておこうと思っておりましたが、日々は慌しく流れてしまい。最近とみに記憶力が低下しているので、ここらで覚えている範囲で記しておきましょう。



産後。このイメージって、みなさん持っていらっしゃるのでしょうか? 私の場合、長女の出産前にはまったく想像すらしていませんでした。初めての出産にビビっており、とにかく無事に出産を終えることばかりに意識が向かい、産んだ後に何が待っているのかはさっぱり。実際に経験してみると、産後の数ヶ月はそれまでの人生と比較して喜怒哀楽がぎゅっと凝縮された期間でした。そう、「怒」も「哀」も。そして加えるなら「苦」も。TVのママタレントからは出産も育児もキラキラしているように見えてしまいますが、産後はキラキラっとだけしているものではないと思います。人の数だけ「産後」があるとは思うのですが、なぜか産後の泥臭い部分については表になかなか出てこないので、ひとつのサンプルとして記しておこうと思います。




かわいすぎるよ。

先にキラキラっとした部分をば。
本当に、我が子はかわいい。予想をはるかに上回るかわいらしさです。私自身、実は赤ちゃんや子供がどちらかというと苦手でこれまでは避けてきました。ところが…本当にかわいくて仕方がない。こんなにも愛を注げるものがこの世にはあるのだと。大袈裟ではありますが、人生観が変わったといえます。ただ、「かわいい」と思えるまでの過程は様々だと思います。産んだ瞬間にかわいいと思う人から産後数ヶ月でようやく思える人まで。



この後はどちらかというと泥臭い部分を書きますが、これらに耐えられるのはこのうえなく我が子がかわいいから。暗〜いトンネルの中で、時折ダイヤモンドを超える輝きの瞬間が。この瞬間を繰り返し、徐々にキラキラ時間が増えていき、産後の日々は過ぎていくのかな。


ねむい…。&寝ない。。

こんなに眠れないとは!新生児の授乳は2時間おきでした。そして、授乳が終わればすぐ眠れるとは限らないのです。次女の場合、30分かけて授乳→吐き戻し対策に30分縦抱っこ→布団に下ろして補足用の搾乳→吐き戻し!大慌てで着替え→次の授乳。。なんてことも…。本当に細切れ睡眠なのです。長女の卒乳は3歳でしたが、私自身、朝までノンストップで眠れるようになったのは産後2年くらいかも。
また、赤ちゃんは寝てばかりいるものだということも幻想でした。“いかに寝かすか?”は乳児育児の大きな課題です。長女はなかなか寝付かない子で、泣き叫ぶばかり。赤ちゃんは、眠いと泣くのです。「眠いなら勝手に寝てよ〜〜〜!!」と繰り返す日々でした。

いたい。。

これが1番ツライかもしれませんし、なかなか言えないことです。出産自体、もちろん痛いです。でも、産後の痛みは質が違うのです。出産は痛いものだと腹を括っています。未知の痛みであっても心構えをしています。そしてお腹の赤ちゃんと2人で乗り切るいわば共同作業です。が、産後の痛みについて未経験者に語る人は少ないので、どれもこれも“産後にこんなことが待っているなんて聞いてないよ〜〜(涙々)。。”という感じです。7ヶ月経った今でも腰痛と関節痛を引きずっています。出産直後は全身筋肉痛の痛みのほか、内診の痛み、キズの痛み、膀胱炎など産後の感染症の痛み、乳腺炎の痛み、母乳マッサージの痛み…などなど、まさにオンパレードです。やはり夫にすら言い難い種類の痛みもあり、ぐっと耐えるばかり*1

また病院?

産後は順調に快復するものだ、なんてことはありません。産後も頻繁に病院に通いましたね。長女のときは産後に大量の出血をしてあわや再入院。膀胱炎やら乳腺炎やらで婦人科、内科等々何度も通うものです。授乳間隔も整っていませんから片時も離れられず、新生児を連れての受診はひとりではかなり困難です。男性の育児休暇は赤ちゃんと触れ合うためにというより、産褥期の母体ケアとして捉えてほしいなぁと思います*2

でない? 飲まない?

産後のママが真っ先に直面するのが母乳問題ではないかと。産前は何となく誰もが出るものだろうと漠然と思っていたのですが、とんでもない。そして、出たからといってうまく飲んでもらえるとは限らない。お腹の中でのんびり過ごしてきた赤ちゃんが、外に出た途端自分でエネルギーを補給する必要があるのです。いきなりうまく飲めるわけがないですよね。長女のとき、軌道に乗るまではかなりの紆余曲折がありました。産前は完全母乳にこだわっていた訳でもないのに、出ないとなるとどうしても母乳で育てたくなるから不思議。なお、「母乳は経済的」とは限りません。助産師さんのマッサージ料金、かさむ食費…。結構な額の初期投資を必要とします。

やせる。(←保証の限りではありません。)

「産後太り」とはよく聞きますが、私の場合は2回ともやせました。妊娠直前の体重にはあっという間に戻り、そこからも減り続ける体重…。完全母乳と食事が原因でしょうね。乳腺炎になりやすい体質だと、油っこい食事も甘いおやつも怖くて摂取できません。羨ましくも思われるのですが、急激に体重が落ちるとかなりだるいです。普段落ちにくい箇所もみるみるやせていき、まさに身を削っての育児。食べないと母乳に影響が出るだろうと、2人分を無理やりでもモリモリ。ご飯は出産前より常に1合多く炊いていました。食べることまでも仕事となった時期は少々辛かったかな。

うるさい。&あたたかい。

身内が「うるさい」ときがあるのです。私のキャラクター上、あまり口を出されていない方だと思いますが、それでも成長なり、発達なりについてちょっと気にしていることについての意見がグサリときて落ち込むこともしばしば。泣いていると「母乳、足りてないんじゃない?」とかね。マタニティブルーなどとあいまってこれが結構堪えるのです。。*3 周囲の意見に一喜一憂しない鈍感さや反論できるだけの情報が必要だなと思ったものです。
また逆に、ふとしたあたたかさにも触れます。娘を連れてスーパーなどに行くとご年配の女性が「かわいいわね。」「大変でしょう、がんばってね。」と。「マザハラ」なんて言葉もありますが、あまり嫌なことを言われたことはありません。ありがたく感じることが多かったことはちょっとした驚きでした。

ない。

時間が。情報が。妊婦時期は我が子と物理的に一心同体ですが、産後も変わりません。というより、体は離れているのに新生児から片時も離れられず、精神的な一体感が増します。ひとりでコンビニに行く時間すらままならない。とにかく赤ちゃんのお世話が最優先の日々ですから「あれ、今日、自分の顔を洗ったっけ?」というくらい慌しく1日が過ぎていくのです。会社ではいつも効率的に、合理的に、優先順位をつけながら…など考えて過ごしているわけですが、産後の時間は対極的かもしれません。目の前のTaskをとにかくさばく、さばく。仕事をがんばっている女性ほど、このギャップに苦しむかもしれないなと思います。
また、あらゆる情報が足りていません。情報はとにかく積極的に取りにいかないと。例えば予防接種。今は定期接種・任意接種含め多数を効率よく受けさせないといけないのですが、このあたりの情報が非常に不足しています。うかうかしていると生後6ヶ月までしか受けられない種類を逃してしまうこともあるようで。




などなど、覚えている範囲で記録してみました。

と〜〜〜っても大変なように見えてしまうのですが、やはり我が子のかわいさが何とかカバーしてくれます。そして、産後直後から時間が経つにつれ少しずつ楽になり&日々かわいさも増していき、大変さは頭の片隅に飛んでいきます。じゃないと、2回目はないですしね。2回目の産後は1回目よりも精神的にずっと楽で、やはり知っているとそうでないとは随分違うものだと痛感しました。
あくまでもサンプルのひとつではありますが、どなたかの参考になったらよいなと。1回目育児と2回目育児の違いも機会があったら書いてみよう。

*1:ただ、2回目ともなると産後は痛くて当たり前とわかっているので、一つひとつの痛みについて「あぁ、きましたね。」という感じです。ちなみに、私が後輩プレママに伝えることは「産後の便秘にだけは気をつけよ!」です。多くは語れませんが…。

*2:そうそう、お世話になっている弁護士に聞いたところによるとアメリカでの産褥期は夫が休みをとってケアするそうな。産後は2日ほどで退院させられるので、その後2〜3週間は仕事を休んで奥様のケアをしていたそうです。この時期に仕事をしていたら「なんて非常識な!」と言われるとのことでした。アメリカで一般的な話なのか、そのローファーム特有の環境なのかはわかりませんが、羨まし過ぎます。

*3:「母乳なの?」「今、●ヶ月?」は禁句と思っていただいた方が。