久々の下請法・社内講習会。
下請法。
メーカーにとっては避けて通れない法律。そして各法務スタッフを苦しめる法律。各社法務が集まる飲み会では「シタウケホウ メンドウ!!!」の声が毎回上がるのだ。ずっと避けてきたが、今回は気合を入れて社内講習会を準備&実施。年末に合計4回開催。
狙い1:違反発生可能性の低減=受講者を増やす
確固たる教育制度がない当社。下請法違反リスクを低減させるためにはうっかり違反の発生可能性を下げる必要があり、自発的に講習を聞こうという受講者をいかに増やすかが最初の鍵。
<仕込み>
- 事前小テストの実施。
- 第1部:基礎編と第2部:実践編の2部構成。
- 高得点者は講習免除or講習の第2部(実践編)からの受講でOK。
- 小テストの正解はイントラネット掲載&回答者にのみパスワード送付。
- パスワード送付メールにて得点と受講の必要性コメントも伝達。
- 受講者リストを全社公開。 「え、出ないの俺だけ?」
- 小テスト得点分布図を公開。 「俺、15点。お前は?」(19点満点)
- 小テストからの抜粋問題を確認テストとして実施。
- 次回への伏線。時間よりも早く終わらせる。「法務の講習って難しい上に長いんだよな」というイメージの払拭。
- 下請法対応の注文書フォーマットをリリース。
思いのほか参加者が集まり、急遽会場を大きな会場に移すことになるといううれしい誤算。小テストの正解を順次返送し始めた頃から参加希望者が急増した。そして、受講申込みを受けていても当日欠席ということが多い法律の講習だが、154人の申込みに対し151人の参加。任意参加にもかかわらず、この参加率の高さは初めて!
[事前小テスト→回答送付・得点分布図公開→講義で補足→確認テスト→講義後フォローアップメール]というINPUTとOUTPUTのサイクルは他の講習会でも使えそうだ。
狙い2:損害の程度の縮小=影響の大きいポイントに絞る!
とにかく下請法に関して知るべき内容は多い。そう、多い。何度でも言います。多い。
- メリハリをしっかりと! 「初めて講習を受ける人はここは聞き流してOK!」
- 危ないポイントに重点を置く!「これ、ミスっている人多いですよ。」
- 自社の具体例に沿って解説。
- 公取のトレンドは「減額!」を強調。
- 「○○社との取引には要注意!」
覚えるべきポイントをすべて詰め込むと講習会は2時間では足りない。すべてを正確に伝えたくなってしまうのが法務の性だが、ここはあえて我慢。
「ここは今は覚えなくていいです。」
「ほかは忘れても絶対にこれだけは忘れないでください。」
この2つのメリハリをつける。
事前小テストをしていることで、みんなが勘違いしているポイントをつかんでいるので講師側もやりやすい。「ここはテストの正答率が異様に低かったポイントで…」と言いながら進められるのはとても気が楽だった。
講習会を開始して思ったことは意外とみんなテストや講習というものに飢えているのかと。地方企業に勤めていると、大都市のように企業間勉強会や異業種交流という機会は決して多くない。自分の今のレベルはどうなのかを確かめる機会というのは案外ニーズがあるのかもと思った4日間。
講習の前後のインプット&アウトプットサイクルはパターン化できそうだ。これを利用して、教育制度の提言もしてみようか。
そして、下請法に関して次のアクションも見えてきた。2011年のうちに片付けて、後はしくみとして自然に回るようにまで持っていくことが必要だ。